事例 タイにおける移転価格税制について(2019.12.13)

【ご相談内容】

タイでは、移転価格税制への対応が話題になっており、また対応について悩んでいます。具体的にどこまで対応すべきなのか?いつまでにすべきなのか?が分からず、対応ができていません。

当社が製造している製品の中に日本本社に納めているものがあり、その中には、1個作るごとに損が出る状態になっています。この状態のまま放置していても問題がないのかが気になっています。


【ご回答】

2018年11月にタイ内国歳入法に移転価格に関する条文が盛り込まれました。2019年1月以降開始の事業年度から適用されています。そのため、タイでは2019年の初頭から移転価格に関して、非常に関心が高い状況になっています。いろんな情報が流れていますが、その中には、噂レベルのものから、誤解や認識不足による誤った情報もあり、あらゆる情報に対応しようとして振り回されている会社も多く見られます。

法律では、売上高が2億バーツ以上の会社は、申告書に移転価格に関する付表を添付することになっています。付表は決算終了後150日以内に提出することになっています。

それでは、移転価格文書を作成しなくてはいけないかというと、移転価格文書は、税務署が税務調査等により移転価格文書の提出を要求した際、要求された日から180日以内(初回のみ)に提出することになっています。したがって、極論を言えば税務調査があり、移転価格文書の提出を求められてから作成しても間に合うと言うことになります。

移転価格文書を作成するには、外部のコンサルタントの協力が必要で、作成に要する料金や事務負担も小さくはありません。その後の更新も必要になります。したがって、実務的対応としては、必要になったら作るということで良いと思います。

ただし、ご相談の中にあったように、明らかに利益が出ない(損が出る)仕事を、日本本社とやっているのは問題です。まさに移転価格上の問題がありますので、そのリスクを日本本社側にも理解していただき、早急に是正するべきです。

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