事例 メキシコの労働法における給与減額について(2020.3.13)

【ご相談内容】

メキシコに置ける新型コロナウイルスの拡大に伴い、従業員の稼働率が低下しています。そのため、会社として従業員を自宅待機にさせて給与を減額しようとしているのですが、現地の法律上何か問題はありますでしょうか。


【ご回答】

条件が揃えば可能と考えられます。 

連邦労働法第7章(CAPITULO VII)は、「雇用関係の団体的停止(Suspensión colectiva de las relaciones de trabajo)」を扱っています。

そして、第427条及び第429条において、雇用関係の団体的停止が可能な事案や実施方法が記載されており、原則、労働裁判所(旧法では労働調停仲裁委員会)の承認の下、実施されることとなります。

ただし、本件のようなコロナウイルスのような病気の場合は、特別な条項が用意されています。それは、第427条第VII項及び第429条第IV項にあたります。当該条項によれば、衛生上の非常事態(contingencia sanitaria)により、衛生当局が企業活動及び労働(labores o trabajos)の停止を宣言した場合、企業が雇用関係の団体的停止をすれば、労働裁判所の承認を経ずして、各従業員に対して、現行の一日当たりの最低賃金一日分額を支給すればよい、ということになっています。

 

3月に政府はコロナウイルスに対する今後の措置を発表しました。しかし、当該発表をもって衛生上の非常事態(contingencia sanitaria)と解釈できるかについては、意見の分かれるところでございます。

現状、自動車組み立て企業や自動車部品製造企業等で生産の中止、それに伴い従業員の自宅待機が行われ、従業員の賃金が50-75%になっているという話は存在しております。これらは、上記の衛生上の非常事態(contingencia sanitaria)に基づくものではありません。これらの場合は、労働組合と企業が話し合い、労働組合の同意を得て実施ているものと考えられます。

そのため、実務的には、労働組合のない会社の場合は、直接従業員と話し合いを持ち、減額の同意が得られれば、賃金の減額を実施できるものと

考えられます。ただし、自宅で業務を継続できるような職種の場合は、給与の減額を実施することは難しいと考えられます。

 

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