事例 海外子会社への貸付金の債権放棄について(2021.7.12)

【ご相談内容】

コロナの影響により海外子会社の業績が芳しくなく、海外子会社への貸付金について債権放棄をしようと考えております。債権放棄した場合、損金扱いはできないものでしょうか?


【ご回答】

通常、子会社への貸付金をカットすると、税務上、親会社側は寄付金ということになります。その相手が海外ですと、海外寄付金となり、100%損金算入できなくなります。

しかし、昨今のコロナ禍という状況で、国税庁は本年4月に通達を改正し、コロナが蔓延したことにより生じた事情により、売上が減少し資金繰りが困難になった取引先に対する支援(売上債権の全部または一部のカット等)は、寄付金に該当しないとしました(法基通9-4-6の2)。この取引先支援に関する通達は以前からありましたが、今回、コロナ限定で取引先の範囲を自社の子会社(海外を含む)まで拡大した形になります。

債権放棄する場合、損金扱いにする場合には、エビデンスが求められるところでしたが、今回は特に「コロナが蔓延したことにより生じた事情」であることの証明、この支援しなかったときに起こる状況を説明できる資料、必要な支援の具体的な額の算出根拠等々の証拠資料が必要になります。客観的に見て、コロナによって引き起こされた事情により、対応しなければその取引先(子会社含む)が経営困難に陥り、自社の経営に大きな影響を及ぼすということがわかる資料ということです。

これらの資料がしっかり揃い、説明ができる状態であれば、海外子会社に対する売上債権の放棄を日本親会社の損金にすることが可能と思われます。顧問税理士に相談してみてください。

この質問について詳細を知りたい方はこちらへどうぞ!浜松市の企業様なら相談は無料です。