事例 タイにおける累積損失がある状況での配当可否について(2021.9.13)

【ご相談内容】

タイの子会社について、現在累積損失がある状況ですが配当は可能でしょうか?


【ご回答】

累損が残っている場合には配当は出来ません。

根拠条文は民商法典1201条になりまして、以下該当条文の日本語訳になります。

第一二〇一条

株主総会の承認なく配当してはならない。

取締役は配当のための利益があることが明らかである時、株主に対し配当することができる。

利益以外の種類の金銭から配当してはならない。会社が損失になっているとき、その損失がなくなるまでは配当できない。

 

この趣旨ですが、株主有限責任を前提とする株式会社制度においては、株主は資本金を払って会社(及びその会社の利害関係者)への責任を果たす(資本金を上限として株主の責任となる)制度趣旨になっていますが、

もし、累損が溜まっている状態での配当を制度的に許してしまうと、資本金を払い込んだ後、その資本金が毀損しているにもかかわらず、会社の財産が株主に流出してしまう事が許容されている、という事になりまして、株主有限責任原則が守られないという事になります。

その為、民商法典(あるいは一般的に株式会社法)においては累損状態での配当は許容されていないという事になります。

当該法令に反する配当を行った場合には、1956年、法律に反する行為を行った会社に対する罰則規定に基づき、会社に対して2万バーツ以下の罰金が科せられます。

 

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