事例 インドネシア現地法人への貸付金利率について(2025.8.20)

インドネシア現地法人への貸付金の利率を、現状、日本国内での調達金利に%で上乗せした金額で設定しています。

先日、移転価格税制に関するセミナーを受けたのですが、その際、海外子会社に対する貸付金の金利は移転価格文書(ローカルファイル)で定められるべきであり、移転価格文書では海外子会社の現地における信用格付けに基づいて利率を算定しなければならないと聞きました。それをするとかなり高い金利になると思われます。

そのセミナーでは、税務調査で低金利を指摘され追徴が発生したという案件が散見されるとのことでした。

 

実際のところ、税務リスクはありますか?また、リスクがある場合、リスクを回避するためにはどうすれば良いでしょうか?


【ご回答】

2022年に発出された移転価格事務運営要領(税務署の上級庁が各税務署へ取り扱いの原則を明示した文書)で、海外子会社への貸付金の金利について、そのような記述がありました。これは、OECDのBEPS行動計画に基づいています。要は,世界的に同じルールで決めましょうということです。

当然、以前より慣例的に調達金利+0.25%~0.5%という簡便な決め方では、今後、移転価格否認や追徴課税のリスクは高くなります。

そのリスクを排除するためには、移転価格文書を作成して、その中で金利について合理的な説明をし、その利率で契約することが必要になります。

現実のところは、中小企業でまだその対応ができているところはほとんどありません。その理由は、移転価格文書を策定するために掛かる費用(信用状況の評価やそれに基づく金利の算定を含む)が高額で、移転価格に関する税務調査を受ける確率とその際に想定される移転価格否認額から追加で納めることになるであろう税額と比べた際、早期対応が合理的ではないということだと思われます。

しかし、今後のことを考えると、準備は進めていくべきでしょう。

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